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2017年01月27日 中建日報
洗浄と補修試験のボランティア|広島県コンクリー卜診断士会|平和公園「平和の灯」維持管理で
広島県コンクリート診断士会(米倉亜州夫会長)は25日から27日の3日間、ボランティアによる平和記念公園「平和の灯」の洗浄作業及び補修試験調査を実施。延べ約30人の会員有志が協力し、高庄水洗浄で表面の汚れを落としたほか、水や汚れの浸入を防ぐ材料や薄層断面修復など、今後の維持管理に活用するための技術を試した。
「平和の灯」は、手のひらを大空に広げた形で平和への祈りを表現したRC造のモニュメント。昭和39年に平和の灯建設委員会によって建立され、設計を丹下健三氏、施工を大林組が手掛けたとされている。
公園を訪れる多くの観光客の目に触れるが、表面はカビやコケで黒く汚れ、一部ではコンクリートが剥落して鉄筋が露出している箇所もある。そのため、昨年5月には同会がボランティアによる健全度調査を実施。内部の構造や表面の劣化状況などについて分析していた。
今回の作業では、会員企業の協力で集まった技術者らが表面に高圧水を吹き付けて全体の汚れをきれいに落としたのち、劣化症状に応じてモニュメントをいくつかの面に分け、汚れを防ぐ酸化チタンコートや、撥水やカビの繁殖を防ぐ効果がある表面含浸材、補修跡を目立たなくするボカシ剤などを塗布。約3mmの薄層で断面修復できるセメント材料なども試した。
同会では今後、これらの試験結果をもとに「平和の灯」をモニュメントとして維持管理するために最も適切な補修方針を内部で検討し、4月ごろをメドに広島市に提案を行う予定という。
米倉会長(米倉社会インフラ技術研究所)は、「平和の灯を少しでもきれいにして観光客を迎えたいというのが活動のきっかけ。また、コンクリートは適切な施工、補修をすれば長寿命化できるということを広く伝えられれば」と話していた。