プレス情報
2016年01月19日 中建日報
「平和の灯」劣化調査へ|ドローンなど最新技術駆使検討
広島県コンクリート診断土会(米倉亜州夫会長=写真)は、会員から有志を募り、広島平和記念公園内にあるコンクリート製モニュメント『平和の灯』の調査・診断をボランティアで実施する方針を明らかにした。管理者の広島市からはすでに内諾を得ており、2月末頃まで参加者を募集したのち、4月末~5月に約3日間かけて現地を調査。その後、長寿命化計画を含めた報告書を市に提出する予定という。
『平和の灯』は、昭和39年に平和の灯建設委員会によって建立。手のひらを大空に広げた形を表現したRC造の記念碑で、丹下健三氏が設計を手掛けた。
今回の活動を担当する診断士会の鈴木智郎副会長(復建調査設計)によれば、ひび割れ補修の形跡はあるものの、詳細な補修歴は不明。記念碑裏側などには鉄筋腐食が原因とみられるコンクリートの浮きが生じている状況で、「再劣化を起こしている可能性が高い。放置すれば大補修が必要になる」という。また、塗装の劣化や表面の汚れも目立つため「世界中の人が見に来る場所。汚れや劣化で見苦しい状況は避けたい」というのが活動の動機だ。
調査では、参加者を4班程度に分け、約3日間で作業を分担しながら外観形状・寸法の計測や目視調査、コンクリート品質調査、配筋状況調査、鉄筋かぶり・腐食状況調査、塗装塗膜の状況・材質調査などを行う。
記念碑という性質上、できる限り非破壊の調査とする予定で、会員の技術向上・伝承等の観点から、ドローンによる空中撮影や赤外線レーザーなど最新技術の駆使を検討する。
幸い、診断士会員74人、賛助会員26社の中には補修業者やコンサルのほか、非破壊検査業者や塗装業者など様々な業種がいるため、広く協力を呼びかけていく方針だ。
鈴木福会長は13日に開かれた「第22回コンクリート診断士会定例サロン」で、これらの調査計画案を発表。複数の会員が参加に意欲を見せた。
このほか、サロンでは、昨年11月に開かれた「コンクリート診断士会中国5県会議」(宇部市)や「第3回業務体験発表会」(金沢市)の内容報告なども行われた。